臨 雁塔聖教序 「是以窺天鑒地」

作品

#231 線に宿る旅の記憶

右)大雁塔に行く前 左)大雁塔に行った後
作品サイズ:半紙サイズ 約33×24 cm
古典:雁塔聖教序(がんとうしょうぎょうじょ)
褚遂良(ちょすいりょう) 筆
653年 制作

どんなお題?

題:是以窺天鑒地
読み:これもって天をうかがい地をかんがみるは

初唐の三大家のひとり、褚遂良さんが書いた雁塔聖教序の臨書です。

臨書とは、優れた古典を勉強するために書くことです。
臨書のやり方には、形臨、意臨、背臨とありますが、今は形をくみ取って筆づかいを研究する形臨をしています。

褚遂良さんは唐の太宗から高宗にかけて仕えた高官でした。
この石碑は『西遊記』でお馴染みの玄奘三蔵の功績をたたえて、時の皇帝である唐代第2 太宗とその息子・高宗が文をつくり、それを清書したのが褚遂良さんです。

褚遂良さんの書は、伸びやかで艶やかで端正なところが大好きです。

大雁塔ビフォーアフター

今回、2つの臨書作品を並べてご紹介するのは、中国への旅の前後で自分の書がどう変わったのかを振り返ってみたかったからです。

旅の途中で訪れた大雁塔。そこの入り口に「雁塔聖教序」の下部の一部が展示されています。

実際に目にしたのは「雁塔聖教序」だったのか確証は持てませんが、そこに刻まれた線のたたずまい、気配のようなものに深く心を動かされました。

帰国後に改めて臨書に向き合ったとき、その感動が無意識のうちに筆先に表れていたのかもしれません。線の質感や息づかいに、自分でもこれまでと少し違う手応えを感じています。旅が与えてくれるのは景色だけではなく、自分の表現に対する新たな視点や感性なのだと、改めて実感させられました。

いつかリベンジ、もう一度大雁塔へ行き、確証をもって「雁塔聖教序」を見てきたいと思っています。

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