2022年の初夏、ある新聞のコラムに、梅雨を爽やかに詠んだ俳句が紹介されていました。その美しさに惹かれ、涼やかな料紙を選び、書作品に仕上げました。
しかし、公開前に著作権を確認したところ、その俳句はまだ保護期間内であることが分かりました。そのため、Gallery μへの掲載は残念ながら見送りました。
この経験をきっかけに、詩歌を扱う際の著作権について改めて調べました。今回は、当時の記事を見直し、作品制作と公開にあたって大切にしていることを整理したいと思います。
著作権の基本と、作品づくりへの向き合い方
著作権は、創作された瞬間に自動的に発生する権利です。詩歌や文章、写真、絵画などは、著作権法上の要件を満たす場合、著作物として保護されます。
個人の著作物は、原則として著作者の死後70年まで保護されます。
著作権の保護期間が満了した作品は、原則として著作権者の許諾なく利用できます。ただし、現代語訳や解説など、別の著作物が付随している場合は、個別に確認が必要です。
Gallery μでは、著作権の保護期間内にある詩歌を題材とする場合、必要な許諾を確認したうえで公開しています。
書作品にするときに気をつけていること
制作時だけでなく、公開時にも著作権は関係する
著作権の保護期間内にある詩歌を利用する場合には、法定の例外に該当しない限り、作品の制作や展示、ウェブサイトへの掲載など、利用方法に応じた許諾の確認が必要です。
Gallery μでは、著作権の保護期間内にある詩歌を題材とした作品については、著作権者の許諾を得て公開しています。
引用は「出典を書けば自由」ではない
引用は、著作権法上の要件を満たす場合に認められる例外です。ですが、出典を明記するだけで自由に利用できるわけではありません。
引用の目的や範囲、引用部分の明確化、出所の明示などを含め、要件を満たしているかを確認する必要があります。
書作品の制作と、複製・翻案の関係
書作品を制作した場合、必ずしも「翻案」に該当するわけではありません。
翻案に当たるかどうかは、元の著作物への依拠(新しい作品が元の著作物を知ったうえで作られているか)や、元の表現上の本質的な特徴を直接感得できるかなどを踏まえて判断されます。
翻案によって生み出された作品は、要件を満たす場合「二次的著作物」となります。二次的著作物には、その創作的な表現について著作権が認められます。
また、原著作物の著作権が存続している場合には、二次的著作物の利用に際して原著作者の権利も存在します。
参考資料
- 文化庁「他人の著作物を利用したい場合など」
- 文化庁「著作権テキスト(令和8年度版)」
- 公益社団法人 日本文藝家協会「著作物を使用されたい方へ」
最後に
詩歌を筆で表現することは、その言葉を受け取り、新たなかたちで伝えることでもあります。
言葉の美しさだけでなく、その背景や著作者の権利にも敬意を払いながら、一つひとつの作品を丁寧に制作し、お届けしたいと考えています。
※本記事は、日本の著作権法に関する一般的な情報を紹介するものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。著作権の保護期間や例外規定は、国や地域によって異なります。
