小筆がおりてしまった。もう使えない。。
もう少し筆をおろしたいけど、墨で固まってほぐせない。。
その小筆、まだまだ使えますよ
使いにくい小筆を復活させよう
小筆はのりで固めた状態で、一部だけほぐして使うことが多いと思います。このような使い方をしているときに、力をかけすぎてしまったり、のりが弱い筆だったりで、おりてしまって使いづらくなることがあります。
また、もう少しほぐして使いたいけど墨で筆が固まってしまっておろせない、というケースもあると思います。
まだ筆の毛は元気なのに、のりが好みの状態ではないというだけで使えない筆がお手元にあるとしたら、もったいないですよね。
そこでこのような筆を再生する方法についてご紹介します。
小筆の再生方法 (所要時間約10分)
小筆の毛はデリケートです。「使いやすくなれ~」との思いを込めて取り扱いましょう。
準備
- でんぷんのり
- 小さな容器
手順1.筆の墨を落とす
筆の墨が固まっているときは、しばらく筆をため水につけておきましょう。無理にほぐそうとすると毛が切れてしまいます。
- 筆をため水に浸す
- 毛にこびりついた墨をやさしくもみ洗いする ⇒ 墨の粉が落ちてきます
- 3倍くらいの水で溶いて薄めたでんぷんのりに筆を浸す
- 毛にこびりついた墨をやさしくもみ洗いする
薄めたでんぷんのりで洗うことで、おもしろいほど墨が落ちます。昔の人は「墨の汚れは米粒と鶯のフンで落とす」と言ったそうですが、でんぷんのりはその米粒の役割ですね。
手順2.筆にのりを付ける
- でんぷんのりと水を 1:1 くらいの割合で混ぜる
- 洗った筆をこの液に入れて、のりが根元までまんべんなくいきわたるようにする(筆に墨を付けるような要領で)
- 穂先に向かって指先でしごいて、形を整える(親指、人差し指、中指の3本の指で三角形を作りながらやるとやりやすいです)
- 筆をつるす
- 筆の軸と穂に付いた余分なのりをティッシュで拭う(穂の形を崩さないように、上から下方向にスーっと)
- 最後に軸を回しながら穂の形と中心を整える
穂先の形は円錐形で中心がずれておらず、毛がねじれていないことが理想です。
このまま1日くらい乾かせば、購入時と同じような状態の筆に生まれ変わります。あとはご随意に筆をおろして使ってください。
ちなみに、穂の形を整える時に、筆職人さんが行っているように糸を巻き付けてやってみたのですが、これは難しかったです。
まとめ
おりてしまったり、墨で固まってしまって使いにくくなった筆を、でんぷんのりで再生する方法を紹介しました。
新型コロナウイルスの発生以降小動物の売買が規制されたり、動物保護の動きにより、筆の毛が入手困難になってきています。限られた資源を大切に使って、息の長い書道活動をしたいですものです。