俳句の解釈を書作品で表現してみたい
餅は餅屋といいますが、達人たちによる、俳句の素晴らしい英訳に出逢いました。
トランヴェールの特集は冴えている
JR東日本の新幹線内で配布されている「トランヴェール」という冊子があります。着眼点が面白くて取材内容が充実しているため、いつも楽しみにしています。
その最新号(2020年9月号)の特集が「『おくのほそ道』翻訳トラベル」でした。
英語と日本語の詩に精通している詩人 アーサー・ビナードさんが、ご自身の解釈をもとに、芭蕉さんの句を英訳されています。
それぞれの英訳
例えば、芭蕉さんが平泉で詠んだ次の句です。
夏草や兵どもが夢の跡
新渡戸稲造さんの次の英訳と同じように捉え、私はこの句から無常の虚しさを感じていました。
The summer grass
’Tis all that’s left
Of ancient warriors’ dreams.
※「’tis」は「it’s(it is)」の古い言い方とのこと。
一方、ビナードさんは、次のように訳されています。
I dream of heroes,
deeds, then awake — the grass sways in the summer breeze
夢から覚めた芭蕉さんが、夏草のそよぎから兵たちのざわめきを感じたのだそうです。この解釈は新鮮でした。
読むひとによって、一つの句から違う解釈が生まれるという、俳句の奥深さを垣間見た気がします。
それぞれの見方で書作品を作ってみたいと思いました。