裏打ちで失敗
漢字用の紙の裏打ちは難しかった
自分でやる裏打ちについて紹介したコラムの続々編です。これまでは、かな料紙に書いた作品を裏打ちしてきました。
今回初めて漢字用の半紙を裏打ちしたのですが、思いのほか苦戦してしまいました。その理由は、漢字用の紙はかな料紙と比較して、
- 紙が柔らかくて破けたり傷つきやすい
- 作品を書いて乾いた後の紙が波打っている
- 墨料が多いため、裏打ち中に墨がにじみ出てしまう
のような性質があるためです。そこで、漢字用半紙の裏打ち方法を試行錯誤しました。
裏打ちの注意点
書いてから少なくとも1週間くらいは墨を乾かした方がいい
2,3日乾かしたくらいでは裏打ち中に墨がにじみ出てしまうことがあるからです。
作品面積の少なくとも3倍の作業スペースを確保
①作品を濡らす、②裏打ち用紙にのりを付ける、③固定する、の3つの場所が別々に必要だからです。 今回も作業台には人工大理石板(キッチン)を、複数の作品を裏打ちするときは③で木の板を使いました。
濡れた作品はできるだけ触らず、こすらずが肝要
漢字用の和紙は水に濡れると非常に破れやすいため、空気抜きやしわ取りのために刷毛で擦るのはやめた方がいいです。
漢字用半紙の裏打ちの準備
裏打ち用紙
裏打ち用紙として100均の画用紙を使いました。こちらの画用紙は半紙よりほんの少し大きいだけなので、本当はもう少し大きいサイズの方がやりやすいです。
のり
100均のチューブに入ったでんぷんのりを使いました。のりをほぼ2倍量の水で溶きます。このとき、のりのダマ(小さな塊)があると仕上がりが美しくないので、平らなお皿などでしっかりとなじませることが肝要です。
タオル綿棒
とても有効だったのがスポーツタオルをくるくると丸めた、名付けて「タオル綿棒」です。空気が入ったり、しわが寄ったりした時はこのタオル綿棒を紙の内から外に向けて転がすときれいになりました。
作品より大きな板 (スペースが足りないとき)
テーブルなどのスペースが足りないとき、「③固定する」を板に貼り付けてもOKです。ただし木の板を使うときは、アクが出ないことを確認します。
漢字用半紙の裏打ちの手順
でんぷんのりを使った昔ながら?の裏打ち
- 作品を裏返しにして霧吹きでまんべんなく濡らす。このとき作品の端から濡らしていき、シワを伸ばし空気をできるだけ入れないように。 (前述の①)
- タオル綿棒を転がして、水気、シワ、空気を除く
- 裏打ち紙(画用紙)に水で溶いたのりを刷毛で塗る (前述の②)
- のり付き面を下にした裏打ち紙を、空気を入れないように作品の上に置く
- 裏打ち紙の縁にのりを塗る
- 作品が付いた裏打ち紙をはがして、ひっくり返して(作品が見えるように)作業台(もしくは板)に貼る (前述の③)
- 乾いたら作品をはがす
- はみ出た裏打ち紙をカットする
6 の工程で裏返したとき、作品にシワが寄っていても大丈夫。作品の上からもう一度霧吹きをかけて濡らし、タオル綿棒を転がせば綺麗になります。
シワや空気が多少残ったとしても大丈夫。結構目立つしわも、乾くと無くなります。
まとめ
漢字用の和紙は水に濡れると非常に破れやすいため、擦ったり触ったりしないよう、工程の中でシワや空気ができるだけ入らないようにするのがコツです。「タオル綿棒」という最強のアイテムを駆使すれば、きっときれいな裏打ちができるでしょう。
きれいな裏打ちがなされた作品は、魅力がアップすること間違いなしです。