#169 世の中にことあるときはみな人もまことの歌をよみいでにけり
作品サイズ: | 半紙サイズ 約33×24 cm |
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仕立て: | 軸装 |
どんなうた?
しいか: | よのなかに ことあるときは みなびとも まことのうたを よみいでにけり |
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詩歌: | 世の中にことあるときはみな人もまことの歌をよみいでにけり |
詠者: | 明治天皇 |
歌集: | |
制作: | 明治37年(1904年) |
出典: | wikisource |
「歌」のお題での御製です。
世の中で何か事が起こるときはすべての人が真実の歌を詠みだすことよ、といったところでしょうか。
よしなしごと
明治天皇が52歳の時の御製です。
この年の2月に日本はロシアに宣戦布告し、日露戦争が勃発しました。「ことあるとき」とはこのことを指すのでしょうか。
このとき、「みな人」はどのような「まことの歌」を詠んだのでしょうか。
例えば与謝野晶子氏はこの年の9月、有名な長詩「君死にたまふこと勿れ」を発表しています。従軍中の弟の生還を強く願った内容です。
御製と「君死にたまふこと勿れ」、どちらが先の発表だったのか調べたのですがわかりませんでした。しかし「富国強兵」のスローガンのもと国のために尊い人命を犠牲にすることを厭わなかった時代に、それでも明治天皇はこのような歌を「まことの歌」と評していてほしいと思ってしまいます。