#192 よしの山雲をはかりに尋ね入りて心にかけし花を見るかな
作品サイズ: | 半切サイズ 約135×35cm |
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仕立て: | 額装 |
どんな歌?
しいか: | よしのやま くもをはかりに たづねいりて こころにかけし はなをみるかな |
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詩歌: | よしの山雲をはかりに尋ね入りて心にかけし花を見るかな |
詠者: | 西行法師 |
歌集: | 山家集 |
制作: | 12世紀後半 |
出典: | 西行全歌集 岩波書店 57 |
“尋花心を” の詞書に続く歌です。
吉野山へ雲を頼りにして尋ね入って行くと、心にかけて慕っていた花を見るのだな、といったところでしょうか。「尋花」とは花を探りめでること。
よしなしごと
goo辞書によると、「尋ねる」には「所在のわからないものなどをさがし求める」という意味だけではなく、「物事のおおもとなどを明らかにしようと調べたり考えたりする」意味があるそうです。
西行さんはもしかすると、単に花を愛でに行っただけではなく、花を通じて自分自身や人生の真理を見つけ出そうとしていたのかもしれません。花を通じて心の中の真実を見つけようとする、その過程を和歌で表現する、こんなところに西行さんの深い哲学や感性を感じます。