#196 なぎさふりかへる我が足跡も無く
作品サイズ: | はがきサイズ 約15×10 cm |
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仕立て: | 額装 |
どんな歌?
しいか: | なぎさふりかへる わがあしあともなく |
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詩歌: | なぎさふりかへる我が足跡も無く(作品中では「なし」) |
詠者: | 尾崎放哉 |
歌集: | 尾崎放哉選句集 |
制作: | 大正13(1924)年 |
出典: | 青空文庫 |
砂浜を歩いているのでしょうか。振り返ると自分の足跡が波で洗われてしまい、消えてしまった、といったところでしょうか。
「足跡も無く」と「も」という助詞を使っているのは、足跡のほかにも何か無いものがあるということなのでしょう。なんだか自分が儚くちっぽけな存在に思える句です。
よしなしごと
今回、蘭の花が散りばめられたこの絵ハガキに何を書こうか探している中で、この俳句を選びました。点々と弧を描いた蘭の花が、砂浜に残された足跡のように見えてきたのです。
最後の部分「足跡も無く」が、勢いで「足跡もなし」になってしまいました。
ところで、今回の俳句はちょっと俳句らしくないと思いませんか?
この俳句のように、5・7・5のリズムや季語といった俳句のルールに則らない自由な俳句のことを「自由律俳句」といいます。季節やお題に関係なく、感情の自由な表現ができるのが特徴とのこと。
俳句のリズムをはずしたということは、それ以上にリズムが良くなければなりません。作るのは俳句よりも難しそうです。