#213 我が庭の松の木陰に菊さけば昔の人し思ほゆるかも
作品サイズ: | 半懐紙サイズ 約37×25 cm |
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仕立て: | 額装 |
どんな歌?
しいか: | わがにはの まつのこかげに きくさけば むかしのひとし おもほゆるかも |
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詩歌: | 我が庭の松の木陰に菊さけば昔の人し思ほゆるかも |
詠者: | 正岡子規 |
歌集: | |
制作: | |
出典: |
庭の松の木陰に咲く菊の花が咲くと、過去の人々や思い出が自然と心に浮かぶなあ
といったところでしょうか。庭に咲く菊が松の木陰で風情を醸し出す様子を描写しながら、それが古き良き時代や懐かしい人々への郷愁を引き起こす心情を表現しているのでしょう。
よしなしごと
秋が深まるとともに、自然の美しさが一層心に響きます。この時期にふさわしい子規さんの歌を書くにあたり、この歌の持つ郷愁や秋の静けさを表現したいと思いました。
特に「菊さけば」という言葉を象徴的に表現したいと考えました。そこで2行目には、菊の花弁を連想させるような点をちりばめ、文字とともに秋の情景を描くよう心がけました。この小さな点たちが、菊の花びらが風に舞う様子や、松の木陰に咲く菊のひっそりとした美しさになりはしないでしょうか。
また、書全体には「松の木陰」の穏やかさや静けさを意識し、余白をたっぷりととりました。空間を活かすことで、秋の時間がゆっくりと流れるような感覚を伝えたいと思いました。
秋の庭で菊が咲き、心が古の思い出に引き込まれるような歌の情景。この作品を通して、少しでもその雰囲気をお届けできれば嬉しいです。