2025年1月募集の川口市立美術館のロゴ・シンボルマーク公募に応募しました。残念ながら選外でしたが、自身の考えや表現を形にできたこと、また美術館という公共性の高いテーマに取り組めたことは、非常に有意義な経験でした。
今回は、異なるコンセプトと表現アプローチにより制作した3つの応募作品とともに、デザインに込めた思いについてご紹介したいと思います。
求められたコンセプト及びミッション
以下 川口市立美術館ロゴ・シンボルマーク募集要項 からの抜粋です。
【コンセプト】
市民が集い交流し、創造力や文化、歴史、産業を育む全く新しい文化芸術の創造・発信拠点
- 市民が集い交流する
- 創造力や文化、歴史、産業を育む
- 全く新しい文化芸術の創造・発信拠点
【ミッション】
コンセプトを達成するため、大きく3つのミッションを掲げて、目標の達成に向けて努力します。
- 継承(Succession)
- 共生(Symbiosis)
- 育成(Cultivation)
案1.『未来へひらく、芸術のかけ橋』

デザインコンセプト
川口の伝統【キューポラ】をイメージした茶色と【安行の植木】をイメージした緑の配色。「川」の字を3人の人物に見立ててデザインし、【継承、共生、育成】をアピール
配色には川口市の象徴的な伝統産業である『キューポラ』を表す茶色と、安行の豊かな『植木』を象徴する緑を採用しました。また、シンボルマークの中で「川」の字を3人の人物に見立てることで、3つのミッションである【継承・共生・育成】を視覚的に表現しています。このデザインは、地域の文化や自然を次世代に引き継ぎながら、人と人との共生や新たな価値の創造を目指す美術館の理念を象徴しています。シンプルかつ温かみのある構図により、地域の魅力を伝え、親しみやすい印象を与えるデザインとなるよう心掛けました。
案2.『ひらく、そだつ、美術の葉』

デザインコンセプト
伝統的な書道で書いた「び」をもとにデザイン。安行の緑で表現。右肩上がりにより未来への【継承】をアピール
モチーフには伝統的な書道で書いた「び」の文字を採用し、その筆遣いを生かしてシンボリックにアレンジしました。この「び」を安行の植木を表す緑色で描くことで、地域の自然と文化を強調しています。また、デザイン全体を右肩上がりの構図にすることで、未来へとつながる【継承・育成】の意志を力強くアピール。さらに形が異なる4つの点で多様性の【共生】を表現。英語ロゴをキューポラを表す茶色とすることで、伝統の重みと新しい価値の創造を表現しつつ、親しみやすさと希望を感じさせるシンボルマークを目指しました。このデザインは、美術館が地域と共に未来を育んでいく象徴となります。
案3.『創造の軌跡、未来へと翔ぶ』

デザインコンセプト
【伝統的】な折り鶴をモチーフとした「び」のデザイン。右肩上がりの遠近法により未来への【継承】をアピール。色はキューポラの茶と安行の緑で配色
伝統的な折り鶴をモチーフにした「び」のデザインで、地域の文化と未来への希望を象徴しています。折り鶴は平和や調和を表すだけでなく、人々が支え合い、共に歩む【共生】の理念を具現化しています。デザインは右肩上がりの遠近法を取り入れ、未来へと受け継がれる文化の【継承】を力強く表現しました。さらに、大小の円にはこの地域に【育成】された新しい世代が大きく羽ばたいていってほしいとの想いを込めました。配色には川口の伝統産業であるキューポラを象徴する茶色と、安行の植木の豊かな緑を採用し、地域の誇りと自然への敬意を表しました。地域全体の発展と文化的成長への願いを視覚化しました。
振り返って
コンペティションの場に作品を提出するという行為そのものが、自分にとっての「対話」であり「発見」でした。選ばれることがゴールではなく、つくる中で何を考え、どんな形に落とし込んだのかが、次に活きると感じています。
他の応募者の方々の作品もいずれ見られる機会があるかもしれませんが、それぞれの視点や表現を見るのが今から楽しみです。
最後に
今回の経験を糧に、今後も地域や公共性をテーマにしたデザインにも積極的に取り組んでいきたいと思っています。
今回ご紹介したようなロゴデザインのご依頼は以下フォームより承ります。