#243 いくたびも雪の深さを尋ねけり

| 作品サイズ: | はがきサイズ 約15×10 cm |
|---|---|
| 仕立て: | 額装 |
どんな歌?
| しいか: | いくたびも ゆきのふかさを たずねけり |
|---|---|
| 詩歌: | いくたびも雪の深さを尋ねけり |
| 詠者: | 正岡子規 |
| 歌集: | 寒山落木 |
| 制作: | 明治29(1896)年 |
| 出典: | 子規記念博物館 |
何度も何度も雪がどれくらい降ったのかと尋ねてしまったよ
といったところでしょうか。病床に伏していて窓の外を覗くことができなかった子規が、雪がどれくらい積もったのかをいくたびも周りの人に尋ねた様子を詠んだ俳句です。
よしなしごと
今回、この句を扇面の形に切り抜かれたはがきに揮毫しました。
茶色のシックな背景に扇面が浮かび上がる、とても魅力的な図案なのですが、
- 扇面が斜めに配置されている
- 扇面がはがきからあふれ、全体に書けない
という少し“癖”のあるデザインで正直書きにくそう。
そのためか、他のはがきの棚が品薄の中で、いまひとつ人気が無く売れ残っていました。
「難しいけれど、なんだか素敵な作品になりそう」
という直感で手に入れあと、構成をあれこれ考えていたのですが、いざこのはがきに筆を入れると自然にこの形に収まりました。
カットされた扇面という限られた器に文字を置くと、句の静けさがどこかすり鉢状に吸い込まれていくように感じられ、小さな紙片に冬の広がりを閉じ込めるような愉しさがありました。

