#248 春は花夏ほととぎす秋は月冬雪さえてすずしかりけり

| 作品サイズ: | 千鳥うちわ 約29×22 cm |
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| 仕立て: | – |
どんな歌?
| しいか: | はるははな なつほととぎす あきはつき ふゆゆきさえて すずしかりけり |
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| 詩歌: | 春は花夏ほととぎす秋は月冬雪さえてすずしかりけり |
| 詠者: | 道元禅師 |
| 歌集: | 不明 |
| 制作: | 1247年 |
| 出典: | 道元の和歌 中公新書 松本章男著 2005 |
“本来の面目” の副題がついた歌です。
それぞれの季節には、それぞれにふさわしい美しさがある。
春には花があり、夏にはほととぎすが鳴き、秋には月が冴え、冬には雪が静かに降る。
どれも比べることなく、どれも欠けることなく、ただその時にあるものがすでに完全である。
といったところでしょうか。
この歌の言わんとすること
道元禅師は鎌倉時代の禅僧、「本来面目(ほんらいのめんもく)」は禅宗の言葉です。
本来面目
人が本来もっている、人としての心の本質のこと。
「本来」は初めからの状態のこと。
「面目」は姿形、容姿のこと。四字熟語字典より
冬の雪さえも「すずしかりけり」と受け止めるその心境は、「あるがままをそのまま受け取る」という道元禅師の思想の表れでしょう。
インテリアの書として
この歌を揮毫したのは、千鳥うちわ。
水辺を軽やかに飛ぶ千鳥の姿をかたどったこのうちわは、実用性と装飾性をあわせ持つ、日本ならではの美しい道具です。
円でも角でもない、やわらかな輪郭。
どこか余白を含んだその形は、この和歌がもつ「とらえどころのなさ」や「執着のなさ」と自然に響き合います。
また、うちわという季節感の強い道具でありながら、春夏秋冬すべてを内包した和歌を書いたことで、通年飾ることができるインテリアの書として仕立てました。
🏆 入賞のご報告
このたび、墨のサロンが主催するインテリアの書展においてルビー賞を受賞しました。室内に飾る書に特化したこの書道展において、選出していただけたことを大変光栄に思います。
書作品、とりわけかな書は、表装まで含めて一つの作品です。本展では、立体感(3D)を意識した額装による出品作品を展示しております。ぜひ会場にてご高覧ください。


