#253 春、ここに満つ

| 作品サイズ: | 約28×28 cm |
|---|---|
| 仕立て: | 額装 |
春を待つ
「春爛漫」という言葉を書こうと思い立ったのは、昨年の立春のころでした。
構想は心の中で静かにかたちを結びながらも、季節は足早に過ぎ、筆を取る機を逸してしまいました。
春は、待つ時間が長く、訪れれば束の間。
そうして一年が巡り、再び同じ言葉と向き合う春が来ました。
一年のあいだあたためてきたイメージから生まれたのが、この「春爛漫」です。
満ちた気配
「爛漫」には、単なる華やぎを超えて、光や気配、さらには心の奥までもが満ちてゆくような響きがあります。
賑わいではなく、冬を越えたのちに訪れる深く柔らかな充実。
墨の潤いが、春の気配を帯びるように。
手に宿る春
壁に掛けて眺めるだけでなく、ふと手に取られるものに、季節の言葉が宿る情景も思い描いていました。
瓶や箱に添えられ、
味わいや香りの記憶と結びつき、
触れるより先に春を感じさせる。
「春爛漫」という文字が、見る春にとどまらず、手の中でひらく春となれば幸いです。
春は、満ちたと気づいた瞬間に過ぎてゆきます。
