そもそも裏打ちとは
裏打ちをしないと、きまらない
書作品を飾るためには、まず裏打ちが必要です。裏打ちをしないと次のような問題があるからです。
- 紙がシワシワで波打ってしまう
- 表装の色や柄が透けてしまう
裏打ちでは作品の紙の裏側に紙を貼り付けます。こうすることで、①作品のしわを伸ばして ②強度を増し ③裏映りしにくく なるのです。素晴らしい!
裏打ち方法を比較してみた
裏打ち初心者の私が、実際に裏打ちをやってみました。
ある程度の熱にも耐えられる人工大理石板(キッチン)を作業台に、作品のサイズは半紙半分(約14×24 cm)です。
方法1.アイロンによる裏打ち
誰でも簡単にできるとうたわれている、アイロンで手軽に裏打ちできる市販のキット。これを使った作業手順はこんなかんじです。
- 作業台にバスタオルを敷く
- その上に作品を裏返しにして置き、霧吹きでまんべんなく濡らす
- くるくると巻いて棒状にしたタオルを転がして、ある程度の水気とシワをとる
- アイロン裏打ち用紙を作品の上にかぶせる
- 当て布をして、温度「中」・スチームなしでアイロンをかける
- はみ出た裏打ち用紙をカットする
製品の説明書には書道下敷を使うことになっていますが、字を書くための大切な下敷が痛むのを避けたかったので、バスタオルで代用しました。
方法2.昔ながら?の裏打ち
でんぷんのりを使った昔ながら?(見よう見まねでやった方法)の裏打ち方法です。でんぷんのりとは障子を貼るのりで、100均でも手軽に手に入ります。松尾碩甫さん×雨人さんの動画を参考にさせていただきました。
- 作品を裏返しにして霧吹きでまんべんなく濡らす
- 作品を破かないように伸ばしながらシワをとる(幅広の刷毛で)
- くるくると巻いて棒状にしたタオルを転がして、ある程度の水気とシワをとる
- 裏打ち紙(厚めの書道用紙にしました)に水で溶いたのりを刷毛で塗る
- のり付き面を下にした裏打ち紙を作品の上に置いて空気を抜く(幅広の刷毛で)
- 裏打ち紙の縁にのりを塗る
- 作品が付いた裏打ち紙をはがして、ひっくり返して(作品が見えるように)作業台に貼る
- 完全に乾いたら作品を作業台からはがす
- はみ出た裏打ち紙をカットする
アイロンによる裏打ちと昔ながらの裏打ちの成果
以下の写真は左側が昔ながら?の裏打ち、右側がアイロンによる裏打ちです。
どちらの方法でも結構簡単に、シワなくピシッと裏打ちができました。しかし、アイロンの方はくるくると丸まってしまいました。
アイロンの方ができが悪い⁉ と思いきや、アイロンの方はシールをはがしていないだけでした。軸側に貼り付けるための接着面の剥離紙をはがすと反らなくなりました。メーカーさん、すみません。。
あくまで個人の感想です
半紙くらいまでの小さな作品ならのりを使った方法で手軽にコスパ良く裏打ちできそうです。作業工程はアイロンより多少増えるもののそれほど手間ではなく、仕上がりもいい感じです。
一方、アイロンの方は接着剤に樹脂を使っているため、経年劣化が気になります。
今後、自分でやるならでんぷんのりの方法を選ぶと思います。
裏打ちの妙
裏打ちは作品を保護するだけではありません。作品性を増すことができます。
写真の作品は薄手の染め紙に書いています。その裏に華やかな破り継ぎ料紙を重ねて裏打ちをしています。破り継ぎ料紙を裏打ち紙に使うという贅沢な使い方ですが、なかなか面白い雰囲気の仕上がりではないでしょうか。
このような高度な裏打ちは、もちろん業者さんの腕のなせる業です。