#205 あきはぎの、秋かぜの、さきそめし、ふみわけて
作品サイズ: | 1葉 約13 × 13 cm |
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仕立て: | 軸装 |
どんな歌?
詩歌: | ①としゆき あきはぎの花さきにけりたかさごのをのへにいまやしかはなくらん ②すがはらのあそん 秋かぜのふきあげにたてるしらぎくは花かあらぬかなみのよするか ③つらゆき さきそめしやどしかはればきくの花いろさへにこそうつろひにけれ ④ふみわけてさらにやとはむもみぢばのふりかくしてしみちとみながら |
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歌集: | 古今和歌集 |
制作: | 913年以前 (同集成立以前) |
出典: | 寸松庵色紙 二玄社 |
よしなしごと
これまで、寸松庵色紙の表現力には魅了されつつも、どちらかというと研究対象として眺めていました。その美しさを純粋に楽しむということはあまりしていなかったように思います。しかし、先日の読売書法展で久しぶりに本物を目にしたとき、ただ単純に「きれい!」と感動しました。
自身で寸松庵色紙を臨書する際、どうしても雑然とした印象になってしまい(言うなればエントロピーが高い)、あの美しさを再現することが難しく感じていました。今回は、筆づかいやリズムをしっかりと体得し、寸松庵色紙の完全再現を目指して、何度も書き重ねました。
その結果、多くの新しい発見があり、改めて学びを得ることができました。一昨年も寸松庵色紙の臨書作品を紹介しましたが、それよりも今回の方がより本物に近づけたのではないかと感じています。
とはいえ、まだまだ至らない点も多く、課題は山積みです。これからも寸松庵色紙の美しさを追求し、さらに深い理解と表現力を身につけていきたいと思います。