揮毫事例紹介:墓石の家名

デザイン事例

お墓の名前を揮毫した事例紹介

先日、ご依頼をいただき、お墓の正面に刻まれる家名を揮毫いたしました。

墓碑に刻まれる文字は、ご家族にとって代々受け継がれていく大切な存在です。そのため、単なる「文字」としてではなく、故人を偲び、ご遺族の思いを受け止める気持ちで筆を執りました。

ご依頼者は大変真面目なお家柄の方で、文字についても「堂々としつつも柔らかさを感じるものを」とのご希望をお持ちでした。

そこで、肉太で重厚感のある隷書と、調和のとれた骨格に行意で柔らかさを加えた楷書の二案をご提示しました。いずれも力強さと落ち着きを併せ持ち、石に刻まれた際に永く読みやすく、また端正に見えるよう意識して仕上げております。

最終的には後者をお選びいただきました。

その後、石材加工場サイドと文字の輪郭やサイズの調整を経たうえで、彫り込みをしていただき、完成に至りました。揮毫した文字は黒御影石の光沢の中に静かに佇む姿となりました。

ご家族からは「温かみがありながら凛とした雰囲気になった」とのお言葉をいただき、書き手として大変ありがたく感じております。

書は、紙や掛軸だけでなく、このように石に刻まれることで、半永久的に残り、後世へと受け継がれていきます。その重みを改めて実感するとともに、一筆一筆の責任を胸に刻む機会となりました。

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