#245 さまざまのあはれをこめて梢吹く風に秋知る深山辺の里

| 作品サイズ: | 半紙サイズ 約33×24 cm |
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| 仕立て: | 額装 |
どんな歌?
| しいか: | さまざまの あはれをこめて こずゑふく かぜにあきしる みやまべのさと |
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| 詩歌: | さまざまのあはれをこめて梢吹く風に秋知る深山辺の里 |
| 詠者: | 西行法師 |
| 歌集: | 山家集 |
| 制作: | 12世紀 |
| 出典: | 西行全歌集 岩波書店 |
さまざまな趣や哀れな思いを込めて木の梢を吹きわたる風に、秋を知る奥山の里
といったところでしょうか。
よしなしごと
「さまざまのあはれをこめて」という冒頭が示す通り、この歌に込められた感情は一つではありません。過ぎ去った時間への思い、これから深まっていく秋への予感、自然と向き合う孤独と安らぎ。そうした複数の感慨が、梢を吹き抜ける風に重ね合わされ、読む者の心にもほのかな寂寥が残ります。
夕焼け色の料紙を選んだのは、まさにその余情を視覚的に表したかったからです。日が沈む直前の空は、昼と夜、その境目にあります。明確に何かが終わるわけでも、始まるわけでもない。ただ、確かに移ろっていく。その曖昧で美しい瞬間は、この和歌の世界観と深く呼応すると感じました。
筆致は、過度に感情を押し出すことを避け、風が静かに通り抜けるような運びを意識しています。文字の連なりの中に、深山の里の静けさと、そこに満ちる「さまざまのあはれ」が、にじみ出ていればよいのですが。
