牧水の歌 – うららかに

作品

#246 うららかに冬日晴れゐてけふ越ゆる路は水なき渓に沿ひたり

作品サイズ:半懐紙サイズ 約37×25 cm
仕立て額装

どんな歌?

しいか:うららかに ふゆひはれゐて へふこゆる みちはみづなき たににそひたり
詩歌:うららかに冬日晴れゐてけふ越ゆる路は水なき渓に沿ひたり
詠者:若山牧水
歌集: くろ土
制作:大正13(1924)年
出典:若山牧水歌集 岩波文庫
うららかに冬の日が晴れている。今日わたしが越えてゆく道は、水の流れていない渓谷に沿って続いている。

といったところでしょうか。

よしなしごと

大正13年、日本は大正デモクラシーの余韻が残る一方、関東大震災の翌年であり、人々は復興と新しい生活様式を模索していました。

冬の日の穏やかな光は、震災後の不安を抱えた社会にとって「希望の象徴」とも読めます。水の涸れた渓谷は、自然の厳しさと静けさを同時に示しているかのようです。

大正13年という時代背景を踏まえると、この歌は単なる自然詠ではなく、社会の不安と希望を背景にした「心の旅路」を描いているように見えます。

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