臨 寸松庵色紙「むめのかを」

作品

#110 臨 寸松庵色紙「むめのかを」

作品:臨 寸松庵色紙

作品サイズ: 約13×13 cm (原寸) ×4枚
仕立て 表装
古筆: 寸松庵色紙(すんしょうあんしきし)
伝 紀貫之筆
11世紀後半制作

どんなうた?

しいか1: つらゆき わかせこが ころもはるさめ ふるごとに のべのみどりぞ いろまさりける
詩歌1: わがせこが衣はるさめ降るごとに野辺のみどりぞ色まさりける
しいか2: きのとものり あまのがは あさせしらなみ たどりつつ わたりはてぬに(ねば) あけぞしにける
詩歌2: 天の河浅瀬しらなみたどりつつ渡りはてねば明けぞしにける
しいか3: とものり あきかぜに はつかりがねぞ きこゆなる たがたまづさを かけてきつらむ
詩歌3: 秋風にはつかりがねぞ聞こゆなる誰が玉梓をかけて来つらむ
しいか4: (読人しらず) むめの(が)かを そでにうつしてと(ど)めたら(てば) はるはすぐとも かたみならまし
詩歌4: 梅が香を袖に移してとどめてば春はすぐともかたみならまし
歌集: 古今和歌集
制作: 905年以前(古今和歌集奏上以前)
出典: 新編 日本古典文学全集11 (小学館)

今回はオリジナル作品ではなく、古筆の臨書です。
お手本にしたのは散らし書きの最高峰、寸松庵色紙です。

寸松庵色紙は折り紙のような小さな料紙に、1首の和歌が書かれています。
線の細太の変化に富んでいて、小さな紙面をダイナミックに演出しています。その他にもこの紙面にはさまざまな技巧が施されているため、書くたびに気づきがあります。

実は寸松庵色紙に書かれている歌は古今和歌集に載っている歌と微妙に違うところがあります。本ページでは「しいか」に寸松庵色紙の読みを示し、古今和歌集の読みは括弧書きにしました。

今回の臨書作品は4枚の色紙を横に並べ、右から、春⇒秋⇒秋⇒春のように1年が巡るようにしています。
2枚目の「天の川・・・」、太陰暦の私たちからすると七夕は夏の行事ですが、太陰暦だった当時では秋の行事だったそうです。

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