俊成の歌 – わが心

作品

#148 わが心いかにせよとて郭公雲間の月の影に鳴くらん

作品:わが心

作品サイズ: 半紙 約33×24 cm
仕立て 額装

どんなうた?

しいか: わがこころ いかにせよとて ほととぎす くもまのつきの かげになくらん
詩歌: わが心いかにせよとて郭公雲間の月の影に鳴くらん
詠者: 藤原俊成(としなり/しゅんぜい)
歌集: 新古今和歌集
制作: 1200年頃 (同集成立頃)
出典: 新編 日本古典文学全集43 小学館

“後徳大寺左大臣家に十首哥よみ侍けるに、よみて遣はしける” の詞書に続く歌です。

私の心をどうしようというのか、ほととぎすよ、儚げな雲の切れ間から洩れる月明かりのもとでお前は哀しく鳴いているのだろうか、といったかんじでしょうか。

よしなしごと

高校の美術の授業で、好きな詩の情景を絵にして、その一節をレタリングするという課題がありました。私は李白(りはく)の「黄鶴楼送孟浩然之広陵」(こうかくろうにてもうこうねんのこうりょうにゆくをおくる)を選び、「孤帆遠影碧空尽 唯見長江天際流」の2節の部分を絵にしました。

そんな風に書作品も書けたらいいと思っています。歌や句、言葉の意味を込めるために、古文や歴史の知識も必要になります。

今回は #145 と同じ歌を、しばらく時間をあけて再び書いてみました。忘れた頃に書いたら、作品がどう変わるのか(変わらないのか)を試したわけですが、

蓋を開けてみると、歌の中で印象に残った箇所が前回と同じだったことがわかりました。「雲間の」の湿った空気感と「月」の光のイメージです。

その表現の仕方はどちらの作品も一緒です。「雲間の」を渇筆(かっぴつ=墨が少なくてかすれる)にして「月」で墨付けをしています。「月」の部分はどちらも料紙が白抜きの部分に来てスポットライトが当たったような効果です。

もっといろいろな表現を身につけないとです。

構図については違うため、紙の色や模様のチカラも借りて、それぞれの景色が広がるのではないでしょうか。

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