#161 人みなの花をかざしてゆくみればわが世の春ものどけかりけり
作品サイズ: | 色紙サイズ 約27×24 cm |
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仕立て: | 軸装 |
どんなうた?
しいか: | ひとみなの はなをかざして ゆくみれば わがよのはるも のどけかりけり |
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詩歌: | 人みなの花をかざしてゆくみればわが世の春ものどけかりけり |
詠者: | 明治天皇 |
歌集: | 明治天皇御集 昭憲皇太后御集 |
制作: | 明治29年春(1896年) |
出典: |
「春野」の詞書に続く歌です。
人々が花をかざして行くのを見ると、わが世の春もうららかなことだよ、といったところでしょうか。
よしなしごと
明治天皇が44歳の時の御製です。
前年4月までの日清戦争に勝利し、明治29年4月に乃木希典第二師団長が東京に凱旋しています。国をあげて民衆は喜びと誇りに包まれていた時期です。
日本にとって初めての近代的な国際紛争だった日清戦争での勝利は、国内外での評価を高め、国内の士気を向上させました。
日清戦争開戦を強く反対したといわれる明治天皇も、勝利に酔いしれる国民を見て「わが世の春」と高揚されたのでしょう。
幕末から明治は動乱の時代でしたが、坂本龍馬氏と明治天皇の和歌には共に「のどけき」という言葉が現れます。この一語に、時代の荒波の中のつかの間の静けさや平和に対する安堵、そしてそれが永久に続くことへの切望が投影されているように感じられます。