#163 おしなべて花の盛りになりにけり 山の端ごとにかかる白雲
作品サイズ: | 半紙サイズ 約33×24 cm |
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仕立て: | 額装 |
どんなうた?
しいか: | おしなべて はなのさかりに なりにけり やまのはごとに かかるしらくも |
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詩歌: | おしなべて花の盛りに成りにけり 山の端ごとにかゝる白雲 |
詠者: | 西行法師 |
歌集: | 山家集 |
制作: | 12世紀後半 |
出典: | 西行全歌集 岩波書店 |
「花の歌あまたよみけるに」の詞書に続く歌です。
いたるところ一様に桜の花の盛りになりました。山の稜線ごとに白雲となって花がかかっているよ、といったところでしょうか。当時は遠くに見える桜の花を、霞や雲、あるいは雪と表現していました。桜は遠くから眺めるものだったようです。
よしなしごと
西行法師は桜の花をこよなく愛していました。生涯で2000首以上の歌を残しましたが、そのうち230首、1割以上が桜の歌だということです。なんと「この花の下で死にたい」とまで言っています。
さてこの作品、いつもと作風を変えて書いてみました。というのも、出品した某展覧会に寄せたからです。
残念ながら、展覧会の結果は芳しくありませんでした。自分の土俵で勝負した方が良かったのかもしれません。
とはいえ、これまでの作品とは違うアプローチの仕方で書いてみるのは新鮮で面白い実験でした。