貞信公の歌 – 小倉山

作品

#168 小倉山峰のもみぢ葉心あらば今一度の行幸待たなん

作品:小倉山

作品サイズ: 15×13 cm
仕立て 軸装

どんなうた?

しいか: をぐらやま みねのもみぢば こころあらば いまひとたびの みゆきまたなん
詩歌: 小倉山峰のもみぢ葉心あらば今一度の行幸待たなん
詠者: 小一条太政大臣(藤原忠平・貞信公)
歌集: 拾遺和歌集
制作: 延喜7年(907年)?(日本紀略に大堰川御幸の記載あり)
出典: 新 日本古典文学大系 7

“亭子院、大井河に御幸ありて、行幸もありぬべき所也と仰せ給ふに、事の由奏せんと申して” の詞書に続く歌です。

”小倉山の峰の紅葉よ、もしお前に情理を介する心があるならば、散らずにもう一度の行幸を待っていてほしい” との訳が出典に。

亭子院とは宇多上皇のこと。上皇が大堰川を御幸なさって「醍醐天皇の行幸もあってよさそうなほど紅葉が素晴らしいところだ」と仰いました。それを聞いた忠平公が、「上皇の御心を天皇に奏上しましょう」と申し上げて詠んだ歌だとのことです。

百人一首で有名な和歌ですね。

よしなしごと

私事ですが、
今年から新たな体制で書に取り組むことになりました。心機一転のいま、過去の『軌跡』を振り返りたいと思いこの作品を書きました。

軌跡1 升色紙

升色紙は私がかな書をやるきっかけになった古筆です。

漢字しかしたことがなかった当時、かな書の魅力がよくわからないでいました。ところが、ある雑誌に掲載されていた升色紙の「いまははや…」を見たとき、ビビッときました。かっこいい!と。

今回の作品を見てくださったときに一瞬「升色紙にこんなのあったっけ?」と思われました?
もしそうでしたら、倣書成功です。

『倣書』(ほうしょ)
集字したり書風を取り入れたりして、その古典らしく真似て書くこと。
軌跡2 小倉山の和歌

本サイトで初登場のこの和歌ですが、実は作品展向けに過去3回書いてきた思い入れのある歌です。

昔書いた作品を無闇に捨ててはダメですね。

昔書いた拙い作品は、かなを始めたばかりの頃を思い出させてくれます。先生方に助けていただきながら、ついていくのに必死だった当時を。

まだまだ勉強不足なことは変わりませんが、魅力的な作品が書けるように力を養っていきたいと思います。

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