貫之の歌 – 大原や

作品

#174 大原や小塩の山の小松原はや木高かれ千代の影見む

作品:大原や

作品サイズ: 半懐紙サイズ 約24×36 cm
仕立て 額装

どんなうた?

しいか: おほはらや をじほのやまの こまつばら はやこだかかれ ちよのかげみむ
詩歌: 大原や小塩の山の小松原はや木高かれ千代の影見む
詠者: 紀貫之
歌集: 後撰和歌集
制作: 承平5年(935)12月(貫之集によると)
出典: 新 日本古典文学大系6 岩波書店

“左大臣の家の男子女子、冠し、裳着侍けるに” の詞書が添えられています。

大原の小塩山の小松原、そこの松たちよ、早く木高くおなりなさい。千年も繁るというその影を見たいのだから、といったところでしょうか。

よしなしごと

このときの左大臣は藤原実頼、その男子と女子がともに成人式を迎える時に詠んだ歌です。

「大原や」と、大原に詠嘆の間投助詞が付いています。大原とは京都市西京区の大原のこと。そこにある大原野神社が藤原氏の氏神であることから、藤原氏の暗喩であることがわかります。

また「小松原」としたのは子供の祝賀であるからであると出典に。

つまりこの歌は、「藤原氏のお子たちよ、早く出世して永く栄えたまえ」と祈願する歌でした。

和歌の名手として聞こえた貫之公は、私的な祝賀行事にも引っ張りだこだったのですね。

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