#191 はちす葉のにごりに染まぬ心もてなにかはつゆを珠とあざむく
作品サイズ: | 半紙サイズ 約33×24 cm |
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仕立て: | 額装 |
どんな歌?
しいか: | はちすばの にごりにしまぬ こころもて なにかはつゆを たまとあざむく |
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詩歌: | はちす葉のにごりに染まぬ心もてなにかはつゆを珠とあざむく |
詠者: | 僧正遍昭(そうじょうへんじょう) |
歌集: | 古今和歌集 |
制作: | 890年以前 (没年以前) |
出典: | 新 日本古典文学大系 5 岩波書店 165 |
“ 蓮の露を見て、よめる ” の詞書に続く歌です。
蓮は泥の濁りに染まらない心をもっている、にもかかわらずどうして葉の上の露を玉に見せかけて人を欺くのだろうか、といったところでしょうか。
よしなしごと
今年の大仕事がひと段落ついたので、たまった作品を順次アップしていきます。
さて、この歌を書くのは1年ぶりです。
僧正遍照は #008 のような気持ちの悪い和歌も詠んでいますが、機知に富んでいて、だんだんと面白いと感じるようになってきました。
この歌は蓮の葉への皮肉に見せかけて、水玉の綺麗さを表現しています。水玉の美しさを直接詠むのではなく、蓮の葉を通すことで、泥に生えながらも美しい花を咲かす蓮の神秘性や、仏教的な意味あいまで含めているあたり、まさに彼の真骨頂という感じがします。