《書 sho》を書かれる皆さん、筆を持ったら何を考えながら書かれますか?
- 文字の意味や背景?
- 筆づかいやリズム?
- 古典について?
- 自分自身の心の状態や集中力?
- …
私の場合、これらはもちろんですが、どうしても次のような用語が頭に浮かんできます。
- 毛細管現象
- 粘性
- 確率
- 摩擦係数
- 反応速度
- エントロピー
- …
これらがどういうシーンで浮かぶのか、ご興味があればつづきをどうぞ。
《書 sho》を書くときに浮かぶのは…
毛細管現象
筆の毛に墨が行きわたる様子や、紙に墨が浸透する様子につながります。
ちなみに、バケツに引っ掛けておいた雑巾が水につかっていたとき、気が付いたら床が水浸しだった… というようなことがありませんか。これは毛細管現象とサイフォンの原理で起こります。この二つの現象、私の大好物です。
コロイド
一番メジャーなコロイド溶液は牛乳ではないでしょうか。
磨り墨や墨汁(墨の液)も、墨の粒子のコロイド溶液です。粒子の安定状態などを考えながら墨の液を使っています。
粘性
つまり、液体がサラサラなのかドロドロなのか、ということです。
墨の液の状態は粘性になってあらわれます。墨の液の粘性が増せば、紙との摩擦抵抗が増しますし、滲みや擦れに影響します。
摩擦抵抗
紙と筆の摩擦抵抗は線質に影響します。筆が紙に食いつく感触は気持ちがいいですよね。
反応速度
墨の粒子を紙にどうやって残すかを考えるときに、いつもこのことが思い浮かびます。
エントロピー(熱力学第二法則)
作品にまとまりがなく、混沌とした状態のとき、「エントロピーが高いな」とか「カオス(混沌や無秩序さ)だな」と思います。「秩序あるものは、秩序がなくなる方向にしか動かない」という宇宙の大原則に逆らって、余白が美しいエントロピーが低い作品を目指したいものです。
まとめ
今回は私が《書 sho》を書くときに思い浮かぶ用語についてご紹介しました。
小難しい言葉を並べて…、と思われるかもしれませんが、皆さまも用語は違えど似たようなことを考えながら《書 sho》を書かれているのではないでしょうか。
《書 sho》を書くという行為は、単なる文字を書くだけではなく、その裏にある豊かな文化や歴史とのつながりを感じることができる貴重な体験です。書を通じて、自分の内面と向き合いながら、文字の美しさと深みを共に味わおうではありませんか。