高倉院の歌 – 白露の

作品

#203 白露の玉もてゆへるませのうちに光さへそふ常夏の花

作品:白露の
作品サイズ:半懐紙サイズ 約37×25 cm
仕立て額装

どんな歌?

詩歌:白露しらつゆの玉もてゆへるませのうちに光さへそふ常夏とこなつの花
詠者:高倉院
歌集:新古今和歌集
制作:13世紀
出典:新 日本古典文学大系11 岩波書店 275

瞿麦なでしこ 露滋つゆしげきといふことを ” の詞書に続く歌です。

白露の玉で編んだ低い垣根の中にあって、光までもがさらに備わっているなでしこの花よ

といったところでしょうか。

よしなしごと

きらきらとした宝石のような朝露に囲まれた舞台の上で、スポットライトを浴びている撫子の花、、そんなイメージで書いてみました。

ちなみに

この和歌が掲載されている新古今和歌集では「本歌取り」という手法が良く用いられました。

本歌取り (ほんかどり)
和歌・連歌などで、古歌の語句・趣向などを取り入れて作歌すること。

出典:小学館 デジタル大辞泉

この歌の本歌は『源氏物語 夕顔』の「心あてにそれかとぞ見る白露の光添へたる夕顔の花」なのだそうです。

『源氏物語』の存在が初めて文献に記述されたのが1008年。それからおよそ150年後の高倉院が活躍された時代までの間に、源氏物語は教養ある人々の間では一般常識になっていたことがわかります。

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