#214 木の間洩る有明の月のさやけきに紅葉を添へてながめつる哉
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作品サイズ: | 半紙サイズ 約33×24 cm |
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仕立て: | 額装 |
どんな歌?
しいか: | このまもる ありあけのつきの さやけきに もみぢをそへて ながめつるかな |
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詩歌: | 木の間洩る有明の月のさやけきに紅葉を添へてながめつる哉 |
詠者: | 西行法師 |
歌集: | 山家集 |
制作: | 1190年? |
出典: | 西行全歌集 岩波書店 |
“月前紅葉”の詞書に続く和歌です。
木々の間を洩れてくる有明の月があまりにも清いので、紅葉の葉を添えて眺めたことだよ
といったところでしょうか。
よしなしごと
今回は和歌に詞書を添えて、寸松庵色紙をイメージした構図にしてみました。詞書の存在が和歌をより一層引き立て、月明かりと紅葉の情景が詩情豊かに浮かび上がればと思ったからです。
また、月夜の青白い静けさと紅葉の彩りの鮮やかさを視覚的に感じられるよう工夫しました。寸松庵色紙特有の散らし書きの技法を取り入れることで、作品全体に流動的なリズム感と動きを与えられればと思いました。
寸松庵色紙の古典的な美しさに敬意を払いながらも、現代の自分の感覚を織り込むことで新たな表現の可能性を探ったわけですが、伸びしろがある作品になりました。