#221 萬代をまつにぞ君をいはひつる千年のかげに住まむと思へば
作品サイズ: | 半紙サイズ 約33×24 cm |
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仕立て: | 額装 |
どんな歌?
しいか: | よろづよを まつにぞきみを いはひつる ちとせのかげに すまむとおもへば |
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詩歌: | 萬代をまつにぞ君をいはひつる千年のかげに住まむと思へば |
詠者: | 素性法師 |
歌集: | 古今和歌集 |
制作: | 913年以前 (同集成立以前) |
出典: | 校註國歌大系3 國民圖書株式會社 |
“ 良岑のつねなりが四十の賀にむすめにかはりてよみ侍りける” の詞書に続く歌です。
あなた様の万世までのご長寿を待ち望み松にお願いをしました。あなた様の千歳の庇護のお陰で暮らさせていただこうと思っているので
といったところでしょうか。
よしなしごと
この和歌、面白くないですか?
この和歌の前半には二つの掛詞が仕掛けられています。「まつ」は「待つ」と「松」、「つる」は完了の助動詞「つ」の連体形と「鶴」。 めでたい言葉を散りばめて賀歌の教科書のようです。
しかし後半の皮肉のような箇所の方が目立っているように感じます。「蔭」には松の木陰の意味と相手の庇護という意味を掛けてあり、むすめのしたたかさが見えています。
「良岑のつねなり」はどういう人かよくわかっていないようですが、素性法師の俗名は「良岑玄利 (よしみねのはるとし)」なのでたぶん親族なのでしょう。この歌はその娘に代わって詠んだものということですから、このような皮肉を言い合えるような、気心が知れた仲だったのですね。