蕪村の句 – 朝がほや

作品

#233 朝がほや一輪深き淵の色

作品サイズ:はがきサイズ 約15×10 cm
仕立て額装

どんな歌?

しいか:あさがほや いちりんふかき ふちのいろ
詩歌:朝がほや一輪深き淵の色
詠者:与謝蕪村
歌集: 自筆句帳
制作:明和5(1768)年
出典:蕪村句集(現代語訳付き) 玉城司 訳注 角川文庫

“澗水湛如藍” の前書に続く句です。

朝顔が咲いている。その一輪はまるで深い淵を覗き込んだかのような色をしている

といったところでしょうか。

蕪村の目

朝顔というと、夏の早朝に咲いて昼にはしぼむ、儚くも可憐な花。

ところが蕪村は、その一輪の朝顔に「深き渕の色」を見たのです。

小さな花の奥に、深淵のような静けさや重みを感じ取った蕪村のまなざし。
それは、ただ可愛いとか、涼しげとかいった視点ではとらえきれない、人の感性の奥に触れてくるような鋭さを持っています。

可憐な絵柄に添えたこの一句、
一輪の朝顔が、季節の底にゆっくりと広がっていくような、そんな作品をお手元にどうぞ。

よしなしごと

いとこから「うちのお墓に由縁のわからない墓石がある」と聞き、久しぶりにお墓参りをしました。

確かに、古い墓石が6体、静かに並んでいます。いずれも江戸時代、1800年前後のもので、一番古いものには「元文五年」(1740年)と刻まれていました。

ちょうど、蕪村さんが生きていたころ。記録は残っていなくても、確かにそこに生きていたご先祖さまの気配を感じました。

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