#252 よしの山雲をはかりに尋ね入りて心にかけし花を見るかな

| 作品サイズ: | 半紙サイズ 約33×24cm |
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| 仕立て: | 額装 |
どんな歌?
| しいか: | よしのやま くもをはかりに たづねいりて こころにかけし はなをみるかな |
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| 詩歌: | よしの山雲をはかりに尋ね入りて心にかけし花を見るかな |
| 詠者: | 西行法師 |
| 歌集: | 山家集 |
| 制作: | 12世紀後半 |
| 出典: | 西行全歌集 岩波書店 57 |
“尋花心を” の詞書に続く歌です。
吉野山へ雲を頼りにして尋ね入って行くと、心にかけて慕っていた花を見るのだな
といったところでしょうか。「尋花」とは花を探りめでることとか。
同じ歌、異なる季節
この和歌を書くのは、今回で二度目になります。
前回は、半切サイズという細長い紙に揮毫しました。
雲深い吉野山へ分け入り、心に思い続けた桜をついに目にする・・・その行程や高揚を、縦の流れに委ねました。
一方今回は、大きく異なる条件でこの歌に向き合いました。
選んだのは半紙サイズ。文字もぐっと小さく抑えました。料紙には、雪を載せた笹の葉の図柄が刷られています。まだ寒さの厳しい、今の季節をそのまま映した紙です。
春の只中で桜を詠むのではなく、まだ春が遠い時期にこそ、心の中で桜を思い描く。
その距離感が、この和歌をまったく違う表情へと導いてくれました。
雲を目指して山にわけ入る西行法師の姿は、今回は静かに内へ内へと向かう心の動きのようです。小さな文字の集積が、まだ見ぬ花への思慕を彷彿とさせます。
同じ和歌であっても、紙の大きさ・色・図柄、そして季節が変わるだけで、向き合い方や思い描く情景がこれほどまでに変わる。面白い世界です。

