貫之の歌 – 櫻花

作品

#255 桜花さきにけらしなあしびきの山のかひより見ゆる白雲

作品サイズ:半紙サイズ 約33×24 cm
仕立て額装

どんな歌?

しいか:さくらばな さきにけらしも あしびきの やまのかひより みゆるしらくも
詩歌:櫻花咲きにけらしもあしびきの山のかひより見ゆる白雲
詠者:紀貫之
歌集: 古今和歌集
制作:913年以前 (同集成立以前)
出典:校註國歌大系3 國民圖書株式會社

“歌奉れと仰せられし時によみてたてまつれる” の詞書に続く歌です。

桜の花が咲いたらしい。山々の合間から見える白雲は、まさしく今は盛りと咲く桜の花でしょう。

といったところでしょうか。天皇の期待に見事に応えた貫之さんでした。

山の白雲という桜

同じ「桜」という言葉でも、時代や場所によって思い描く色や風景は少し違うのかもしれません。

和歌では、桜を“白雲”にたとえる表現があります。

遠くの山に咲く桜は一本一本の花ではなく、やわらかな白の塊として見える。それが雲のように山肌に浮かんで見えるというのです。

桜の花が雲のように白いというのは、現代の私たちには少し意外かもしれません。

しかし平安時代、桜といえば山桜。花の色はほとんど白でした。

つい先日、熱海で満開の河津桜を目にしました。この桜は鮮やかなピンクの花を咲かせます。

同じ「桜」という言葉でも、
時代や場所によって思い描く色や風景は変わってきます。

同じ歌を書いていても、
時間や気分によって表現は少しずつ変わっていきます。

前回書いた同じ和歌の作品とは、また少し違ったものになりました。

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