#068 見る人もなくてちりぬる奥山のもみぢは夜の錦なりけり
作品サイズ: | 半紙 約33×24 cm |
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仕立て: | 額装 |
どんなうた?
しいか: | みるひとも なくてちりぬる おくやまの もみぢはよるの にしきなりけり |
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詩歌: | 見る人もなくてちりぬる奥山のもみぢは夜の錦なりけり |
詠者: | 紀貫之 |
歌集: | 古今和歌集 |
制作: | 9世紀以前 |
出典: | 新 日本古典文学大系5 岩波書店 |
“北山に、もみぢ折らむとてまかれりける時に、よめる” の詞書に続く歌です。
見る人もいないままに散ってしまう奥山のもみじは、まるで夜に錦を着ておめかししているかのように意味がないことだ、といったところでしょうか。
「夜の錦」は、かの項羽が故郷に錦を飾りたいと主張したときのセリフからくるので立身出世欲を含んでいます。
また北山を奥山と卑下して詠んでいるところから、思うように出世できなくて鬱々としている貫之さんの心境を詠みこんでいるかのようです。