#072 春日野に若菜つみつゝ万世をいはふ心は神ぞしるらむ
作品サイズ: | 半紙 約33×24 cm |
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仕立て: | 額装 |
どんなうた?
しいか: | かすがのに わかなつみつつ よろづよを いはふこころは かみぞしるらむ |
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詩歌: | 春日野に若菜つみつゝ万世をいはふ心は神ぞしるらむ |
詠者: | 藤原満子? |
歌集: | 古今和歌集 |
制作: | 906年頃・・・藤原定国の生誕866年+40年 |
出典: | 新 日本古典文学大系5 岩波書店 |
“内侍のかみの、右大将藤原朝臣の四十賀しける時に、四季の絵書ける後ろの屏風に書きたりける歌” の詞書に続く歌です。
“春日野で若菜を摘みましては、永遠の長寿をお祈りする心は、神がきっとご覧くださるでしょう。” と出典にあります。
なんだか新年にも通じるようなめでたい歌に感じます。
春日野とは藤原氏の氏神様である春日大社の周辺を指します。藤原氏による藤原氏のための歌ということになります。
実は、お祝いされている藤原朝臣定国さんは906年に亡くなっています。つまり、この40歳の祝賀会のときには芳しくなかった可能性があります。妹の内侍のかみ(満子)さんの祈りはめでたいものではなく切実だったかもしれません。
単純に足し算をしただけだったのに意外な裏事情が見えてきました。