仲麿の歌 – 天の原

作品

#141 天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山にいでし月かも

作品:天の原

作品サイズ: 半紙 約33×24 cm
仕立て 額装

どんなうた?

しいか: あまのはら ふりさけみれば かすがなる みかさのやまに いでしつきかも
詩歌: 天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山にいでし月かも
詠者: 阿倍仲麿
歌集: 古今和歌集
制作: 770年以前 (没年以前)
出典: 新編 日本古典文学全集11 小学館

“唐土(もろこし)にて月を見てよめる” の詞書に続く歌です。
出典には次の訳が。

広々とした大空をはるかに見晴らすと、今しも月が上がったところである。思えば昔、まだ若かった私が唐土に出発する前に、春日の三笠の山の端から上がったのも、今夜の月と同じようなものであった。

留学生として遣唐使船に乗り込んだ仲麿さんは、大変優秀だったため唐の玄宗皇帝に登用され高官に上り詰めました。30年余りを経てようやく帰国できるというときに、送別会で詠んだ歌とのことです。

よしなしごと

今回は関戸本古今和歌集(以下、関戸本)より集字をして倣書(ほうしょ)しました。

関戸本は平安朝かな書道の中で、高野切に続いて習うとよいとされる古筆です。各文字が端正な高野切に対して、関戸本は緩急抑揚に富んだ筆づかいや効果的な墨継ぎなどによる、変化にあふれた紙面の美しさが魅力です。

この関戸本、自分の中で数年前に比べて取り組みやすくなったと感じています。

ここ数年、西本願寺本三十六人家集の第4筆(と呼んでいます)の書を臨書してきました。

西本願寺本三十六人家集は20人の能書家の寄せ集めですが、この中には関戸本と同筆ではないかといわれている書があります。また書写年代が関戸本が11世紀後半、西本願寺本は12世紀前半とされるように近いです。このような共通点があるからかもしれません。

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