西行の歌 – 分けいりて

作品

#160 分けいりて誰かは人の尋ぬべき岩蔭草の繁る山路を

作品:わけいりて

作品サイズ: 約24×16 cm
仕立て 軸装

どんなうた?

しいか: わけいりて だれかはひとの たづぬべき いはかげくさの しげるやまぢを
詩歌: 分けいりて誰かは人の尋ぬべき岩蔭草の繁る山路を
詠者: 西行法師
歌集: 山家集
制作: 12世紀後半
出典: 西行全歌集 岩波書店

岩陰に生える草を分け入り険しい山路を、どなたか私を探し求めて尋ねてくるだろうか、いやそんなことはない、といったところでしょうか。

よしなしごと

作品にするとき和歌の意味を考えます。

すんなりとわかるものもあれば、何をいっているのかよくわからないものもあります。古典に通じているわけではないので、出典を参考にしたり、自分で品詞分解をしてみたりするわけです。

そもそも現代の日本語ですら主語を明示しないのに、古典はさらに主語があいまいです。また、自分のことを「私」とは言わず濁らせたりします。

今回の歌もその点がよくわかりませんでした。そこで、高校生よろしく品詞分解をしてみたわけです。一生懸命に調べたのですが正しいのかどうか。。

  • 分け入り … ラ行四段活用「分け入る」の連用形
  • て … 接続助詞
  • 誰 … 代名詞
  • かは … 係助詞
  • 人 … 代名詞
  • の … 格助詞
  • 尋ぬ … ナ行下二段活用「尋ぬ」の終止形
  • べき … 推量の助動詞「べし」の連体形(係助詞「かは」の文中用法と文末用法「かは」が文中に用いられ、受ける語が活用語である場合は、係り結びの法則で、文末の活用語は連体形になる。 by Weblio)
  • 岩 … 名詞
  • 蔭 … 名詞
  • 草 … 名詞
  • の … 格助詞
  • 茂る … ラ行四段活用「茂る」の連体形
  • 山路 … 名詞
  • を … 格助詞

こうすることで、ようやく何を言っているのか見えてきました。

「人」は西行法師自信なのでしょう。独り静かに暮らし、話をする友人もいない。たまにふとその寂しさに耐えている自分を客観的にみて一首詠んでみた、といったところでしょうか。

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