公忠の歌 – 行きやらで

作品

#185 行きやらで山地暮らしつ郭公今一声の聞かまほしさに

作品:ゆきやらで
作品サイズ:半紙サイズ 約33×24 cm
仕立て額装

どんな歌?

しいか:ゆきやらで やまぢくらしつ ほととぎす いまひとこゑの きかまほしさに
詩歌:行きやらで山地暮らしつ郭公今一声の聞かまほしさに
詠者:源公忠(みなもと の きんただ
歌集: 拾遺和歌集
制作:承平3年(933) 8月27日(康子内親王裳着屏風歌)
出典:新 日本古典文学大系7 岩波書店 106

“北宮の裳着の屏風に” の詞書に続く歌です。

そのまま通り過ぎることができずに山道で日を暮らしてしまった、ほととぎすのもうひと声が聞きたかったばかりに、といったところでしょうか。

よしなしごと

「北宮」とは醍醐天皇の第14皇女 康子内親王のこと、「裳着」とは女の子の成人の儀式です。

執り行われたのは旧暦の8月27日、季節は秋です。じつはこのとき、紀貫之も屏風歌を詠んでいるのですが、彼の歌には桜花や雪が出てきます。

春深くなりぬと思ふを桜花散る木のもとはまだ雪ぞ降る

拾遺和歌集 63

この屏風にはその日の季節とは関係なく、さまざまな情景が収められていたのでしょう。

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