#237 悲風千里来

作品サイズ: | 半紙サイズ 約33×24 cm |
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仕立て: | 額装 |
どんなフレーズ?
しいか: | ひふうせんりよりきたる |
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フレーズ: | 悲風千里来 |
詠者: | 高適(こうせき) |
歌集: | 漢詩「宋中十首其一」の一節 |
制作: | 8世紀ごろ |
出典: |
悲しい風が遠い千里のかなたから吹いてくる
といったところでしょうか。
大奥展で出会った天璋院と和宮の手紙
友人に誘われ、東京国立博物館で開催中の「大奥展」に行ってきました。
「大奥展」は、江戸城の奥御殿で将軍を支えた女性たちの暮らしや文化に焦点を当て、豪華絢爛な衣装、調度品、書簡などを通してその世界を紹介する展覧会です。テレビドラマや映画でも題材となる「大奥」ですが、今回は実物資料を通じて、その歴史の奥行きや人間模様に触れることができました。
私はドラマ「大奥」は見ていませんが、華やかな衣装や大掛かりな舞台演出は大いに楽しませていただきました。
実際の江戸城大奥にいらした御台所(みだいどころ)様たちの贅を凝らした絢爛豪華な衣装の数々にはため息が出ました。精緻な刺繍でこんな輝きを創出できるのかと。
中でも私が興味深かったのは、天璋院様と和宮様との間に交わされた消息(手紙)です。
和宮様は健気に一生懸命書かれた様子が、一方天璋院様は非常に筆に慣れておりかつ洗練されており、聡明で何事も楚々とこなしてしまわれる様子がうかがえました。いずれも人柄がしのばれました。
書かれた文字が映し出す人間像というものは実に面白く、また自分に照らし合わせると恐ろしくもあります。華やかさとともに、人の温もりや個性をも強く感じさせてくれた展覧会でした。