境井仁の歌 – ゲーム『Ghost of Tsushima』より

作品

#200 長閑なる闇をも散らす日を浴びてなお強くあれ思う我なり

作品サイズ:短冊サイズ 約37×6 cm
仕立て額装

どんな歌?

しいか:のどかなる やみをもちらす ひをあびて なほつよくあれ おもふわれなり
詩歌:長閑なる闇をも散らす日を浴びてなお強くあれ思う我なり
詠者:境井 仁(さかい じん)… ゲームの主人公
制作:2024年
出典:ソニー・インタラクティブエンタテインメント発売ゲーム
『Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)』

“流民の鉢巻き” のお題にて詠まれた和歌です。

穏やかな日差しが暗闇をも追い払う中で、さらに強くありたいと願う私である

といったところでしょうか。

この和歌「流民の鉢巻き」は、困難な状況にある流民たちの、厳しい状況にあっても希望や気力を失わずに、強く生きようとする決意がみなぎっています。

よしなしごと

『Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)』とは

『Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)』というゲームをご存じでしょうか?

鎌倉時代の元寇の際の、朝鮮半島に最も近い日本の領土「対馬(つしま)」が舞台のオープンワールドゲームです。映画顔負けの美しいグラフィックと、リアルな歴史観の作り込みが秀逸で、モンゴル兵に蹂躙される対馬の人々に感情移入しないではいられません。

今年5月に発売されたPC版は、従来のPlayStation版に比べてフレームレートが高く、より臨場感が増しました。

さて、このゲームの主人公「境井 仁」は、モンゴル襲撃の際に生き残った数少ない武士の一人です。彼は「誉れ(ほまれ)」といわれる武士の正攻法からは外れた方法で対馬を守ろうとします。それは人的にも物資的にも、なにもかもリソース不足の中でモンゴル軍に対抗するための苦肉の策でした。

この和歌の成り立ち

彼が強くなるためのアイテムを入手するため、幾度か和歌を詠みます。今回の作品の和歌はそのうちのひとつです。

お題と発句(最初の5文字)が提示された後、プレーヤーがそのあとの句を三択します。三択は3回ありますから、たぶん27通りの和歌が完成するのでしょう。各プレーヤーの思いがこもった和歌が生まれるというわけです。

和歌を書いてみた

死地に赴く武士が詠んだ歌は短冊がふさわしい、となんとなくそう思いました。

書くにあたり、できるだけ難しい文字や表現の使用を避けたつもりですが、読めるでしょうか。

後日譚

なんだか思うように書けず、何度か書きなおしました。

時系列としては、作品① ⇒ 作品② ⇒ 作品③ の順です。

作品①は「読める」ことを意識せず、変体仮名を使って思いついたまま書きました。鎌倉時代を生きている仁氏はいわゆる「くずし字」(変体仮名や行書・草書など)は当たり前だった訳で、そうなるとこんな書き方が一番ゲームの世界観にに近いのではないでしょうか。

作品②は「読める」ことを意識して書きました。変体仮名を使わず、読みづらい表現を避けた形です。

しかし、なんだか納得いかずに、表現の仕方をいろいろ考えてみました。その結果として作品③ができました。こちらは上の句と下の句を2段に分けて書いたことで、読みやすさがアップしたと思います。また、「強くあれ」を強調して主人公の心情をアピールしました。ただ、少し流麗になりすぎたような気もします。

どの作品がお好みでしょう?

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