滋蔭の歌 – あしびきの

作品

#266 あしひきの山立ち離れ行く雲の宿り定めぬ世にこそありけれ

作品サイズ: 半懐紙サイズ 約37×25 cm
仕立て額装

どんな歌?

しいか:あしひきの やまたちはなれ ゆくくもの やどりさだめぬ よにこそありけれ
詩歌:あしひきの山立ち離れ行く雲の宿り定めぬ世にこそありけれ
詠者:小野滋蔭(おの の しげかげ)
歌集: 古今和歌集 第十 物名 430
制作:896年以前 (没年以前)
出典:新 日本古典文学大系5 岩波書店

“たちはな” の詞書に続く歌です。

山を発ち離れていく雲のように、留まるところが定まらないこの世であることよ

といったところでしょうか。

物名に隠されたもう一つの世界

この歌は、一見すると「山を離れて流れていく雲」に、自らの定まらない人生を重ねた歌です。

しかし、この歌にはもう一つの楽しみ方があります。それが「物名(もののな)」です。

物名とは、和歌の意味とは別に、植物や鳥、虫などの名前を歌の中に密かに忍ばせる、平安時代の知的な言葉遊びです。まるで暗号のように、文字の切れ目をまたいで読むことで隠された言葉が現れます。

この歌では、

  • たちばな(橘) … 山たちはな

という木の名前が巧みに織り込まれています。

物名の歌では、隠し言葉を入れながらも、和歌として自然な意味を保つことが求められました。また当時は濁音と清音を厳密に区別しなかったため、現代より自由な発想で言葉を隠すことができました。

平安の人々は、歌を読んで情景や心情を味わうだけでなく、「ほかにも何か隠されているのではないか」と探す楽しみも共有していたのでしょう。

一首の中に、人生の無常を詠む歌と、言葉遊びの妙。その二つが自然に共存しているところに、和歌文化の奥深さが感じられます。

作品仕様・額装について

  • 素材:かな料紙に、磨り墨による墨書
    ・・・ 料紙の繊細な表情と墨の深い階調が、静かな奥行きを生み出します。
  • 額装:作品ごとに最適な仕立てを施し、高品質なアクリル額にて額装いたします。
    ・・・ 空間との調和を大切に、一点ごとに設えます。書の美しさが暮らしに自然に溶け込み、日々の景色を整えます。
空間イメージ
(本画像はGoogleの生成ツールを用いて制作しています。)

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